アンデス・アマゾン学会

Society for Andean & Amazonian Studies

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ブラジル・シングー川チュコンの村

第1回研究大会(2012)発表要旨

  • 「アンデス牧民共同体における土地利用と人々の紐帯」
  • 鳥塚あゆち(法政大学、東海大学医療技術短期大学)

 共同体での牧畜活動には成員間の手伝いが必要であり、隣人が誰かということは相互扶助関係と深く結びついている。しかしながら、牧民共同体内での詳細な居住形態や土地利用に関する研究は少ない。さらに、近年ではラクダ科動物の利用方法の変化に伴い、牧草地利用も変化してきている。本発表では、ペルー南部高地に位置する牧民共同体を例に、土地利用と居住形態の変化から、人々の関係の変化の一端を探ることを目的とした。

 共同体では1997年に土地を細分し、現在では各家族に牧草地の使用権が与えられている。土地区分では、まず親戚・隣人からなるグループに対して土地が割り当てられたが、徐々に小グループ、個人へと細分化した。区分は居住形態と放牧形態にも変化を及ぼしたが、発表ではこの変化の過程をグループA、Bの具体例から示し、グループ編成に放牧の労働力となる者を加えたこと、Aでは放牧範囲に対して実の親子間で不満があること、Bでは姻族間で区分の境界をめぐる争いが生まれ、放牧可能な牧草地の数が減ってしまったという現状が明らかとなった。

  • 「2011-2012年 先住民共同体チリュカにおける家畜飼育・利用の実態調査」
  • 若林大我(法政大学非常勤講師)

 報告者は2011年5月から2012年3月にかけ、ペルー、クスコ県カンチス郡ピトゥマルカ行政区に位置する先住民共同体チリュカ(Comunidad Campesina de Chillca)にて、家畜飼育と利用の実態把握を目的とするフィールドワークを行なった。予備的なデータ分析から同共同体では、1) 多くの世帯が領域内に有している複数の住居のうち、主住居(wasi)と仮住居(astana)とが明確に区別されていること、2) リャマのオス、リャマとアルパカのメス、アルパカのオス、そしてヒツジが分別放牧されており、リャマのオスは標高の高い牧草地で半野生状態で放牧されていること、3) 共同体内に設けられている区画(sector)のうち、各世帯は特定の区画内でのみ牧草地利用が認められていること、等の特徴が指摘できる。今後は世帯単位での牧草地利用をより詳細に分析して類型化するとともに、牧畜にまつわる儀礼や口承伝統といった文化的側面についても得られた情報を整理することが課題として挙げられる。

  • 「山の神々への供物の現在:アンデスのムユ貝」
  • 大平秀一(東海大学)

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  • 「DANZAQの巡礼:あるハサミ踊り手のライフ・ヒストリー」
  • 佐々木直美(法政大学)

 本発表では、ペルーの中央高地に起源を持つとされる「ハサミ踊り」についてその概要を紹介するとともに、アヤクチョ地方出身で現在はリマ在住の踊り手、アルコン・デ・パイコのライフ・ヒストリーを通じて、アンデスの村祭りと都市に移住した踊り手との関係について考察した。

 ハサミ踊りは2010年にユネスコの世界無形文化遺産に登録されたものの、アンデスの信仰を色濃く反映する儀礼的踊りであるため、ほんの十数年前まではペルー国内に支配的なカトリック的価値観によって不遇の歴史を辿りつつ、アンデスの村々で脈々と踊り継がれてきた。しかし大規模な都市化とともに、移住する踊り手や、都市で生まれたために実際の村祭りを体験したことのない踊り手が多数を占めるようになった一方、村では都市の踊り手に依存しなければ村祭りが行えない現状となっている。こうした背景のなか、アルコン・デ・パイコの語りと体験が示すことは、村は「伝統」を継承していくために都市の踊り手を必要とし、都市の踊り手は踊り手としての「真正性」を得るために村での実演を必要とする相互依存の関係である。

  • 「アンデス世界のシラミ」
  • 加藤隆浩(南山大学)

 アンデス世界のシラミ(表象)の研究といえば、言語学・図像学・神話学・民族学・エスノヒストリーなど、多方面から資料を収集し、それを解析したMarie-France Souffez の業績が有名である。彼女の著作は、文字通りシラミつぶしに資料を渉猟し、無数の事例をあたかも積木細工のように集積した極めて興味深い研究である。しかし、自身も認めるように、シラミが文化の様々な局面に出てきて、それを追いかけているうちに、研究の方向が拡散し、その吸血昆虫がアンデス世界で担う意味を統一的に提示する方向に向かっていってはいないことは明らかである。よく知られているように、インカ時代にはシラミは税としてクスコに上納されたし、ワロチリ文書で活躍するクニラヤは、ぼろをまいシラミをわかせた神であったことは広く知られるところである。だとすると、問題の害虫は、ただインカ帝国の根幹をなす納税体系の中に組み込まれているだけでなく、創造神話の主人公たる主神の「目印」でもあり、それは、アンデス文化の中核に近い部分にまで侵入していることになる。しかも、Souffezがいうように、それがアンデス文化の様々な局面に食い込んでいるということにであれば、シラミは害虫とはいうものの、アンデスの社会や文化を理解するうえでは、「忌避」・「駆除」するのではなく、むしろ逆に積極的に接近すべき益虫ということになる。この発表では、シラミ(表象)が、登場する場面をさまざまに設定し、シラミを「取る者」・「取られる者」という関係に焦点を合わせ、アンデスでお馴染みの給付―反対給付の関係を根本で支える相互補完の重要性を表現するメタファーとして広く利用されたのではないか、と説いた。

  • 「二つのラム酒:ペルー・サトウキビ産業の勃興とアンデス文化の変容に関する経済史研究」
  • 大貫良史(法政大学、フェリス女学院大学非常勤講師)

 本研究では、ペルーの山岳地域で普及しているサトウキビ由来の蒸留酒であるカニャッソ(Cañaso)を中心に、16世紀のスペイン人到来以降、外部より導入されたこの蒸留酒が、どのような背景から伝統的社会に普及し、その後のペルー社会、経済、文化へ影響を及ぼしていったのかを経済史及び文化的側面という二つの視点から考察する。

 本発表では、山岳部におけるカニャッソ需要への味に対する嗜好性の影響についてと、エタノールへの代替に関する実態調査に際し、調査計画と北部および南部での利用に関して事前に明らかとなった部分や問題点等について報告を行った。

  • 「植民地時代前半期のポトシ銀山をめぐる社会経済史研究の重要性」
  • 真鍋周三(兵庫県立大学)

 今日の歴史学界において「グローバルヒストリー」研究が注目をあびるなかで、わが国でも近年、16世紀以降のアメリカ大陸産の銀のグローバルなレベルでの流通に目が向けられるようになった。植民地時代ペルー地域の歴史に関心をもつ筆者はこれまで、中央アンデス南部高地(シエラ南部)に「中核」として出現したポトシ銀山とその市場経済が、アンデスの原住民社会にいかなる変容をもたらしたかという視点からポトシに関心を注いできた。しかしながら、グローバルなレベルでのポトシ銀山ならびにその市場経済に関する研究は十分ではなかった。そこで本報告では、ポトシ銀山をめぐる社会経済史研究の手始めとして、ポトシ市場経済圏の形成とその実態を植民地時代前半期にかぎって、史料にもとづいて詳細に検討、考察した。

 本研究は前編と後編からなるが、今回の報告では、下記に示したように、第I章の「ポトシへの物資供給」の部分のみを扱った。即ち、まずもって「ポトシの政治的経済的支配と商業」に言及した後、ポトシへの物資供給を、「太平洋岸およびラプラタ川コース経由による物資供給(黒人奴隷の供給、現アルゼンチン北西部一帯からの産出品を含む)」と「ポトシ周辺部地域からの物資供給」とに分けて実証的に述べた。

  
  • 「NGOの現場における学びのプロセス:interculturalな空間における対話と協働の中で」
  • 杉田優子(東京大学大学院)

 NPO論や国際開発論の多くは比較的規模の大きい専門家の組織を前提としたものであり、ボランティアの運営する小規模な事業の例は少ない。本発表では1987年にエクアドル、シエラノルテで起きた大地震をきっかけに始まった小規模な国際協力組織の23年の経験を事例として、エクアドルという背景の特殊性を視野に入れつつ、社会教育学的な視点から考察することによって、この活動が他の国際協力の活動とは異なる学びの過程があること、そして独自の意味を持つことを明らかにしようと試みた。さらに、日本とエクアドルで同じ目的で設立された活動が、それぞれの社会的背景における異なる学びの過程を経て、やがて対等な関係に発展してくプロセスを見ていった。こうした作業を通して、市民活動としての国際協力は、協働の中の学びを豊かに実現する、規模の大小に関係なく安定した意味のある活動を広げていく可能性を持っていることを示そうとした。

  • YUCAY A TRAVÉS DE DIEZ EXPRESIONES QUECHUAS
  • ANGELICA PALOMINO DE AOKI(奈良大学)

  APAKUQ Y MARQ’AKUQ, son los padrinos de bautizo. Normalmente los bebés se bautizan a los un mes, dos meses o tres meses de nacido.

  Apakuq, es la persona que lleva al bebé de su casa hasta la iglesia. Marq’akuq, es quien sostiene al bebé en sus brazos durante la ceremonia del bautizo.

  AQHA, es la bebida más importante desde los ancestros. Para su preparación se necesita wiñapu, es el maíz germinado. Aqhawasi es la chichería o lugar donde se vende esta bebida que en castellano lo llaman chicha.

  AYNI O AYNINAKUY, es la reciprocidad con que se vive. Ayudarse en los quehaceres de la casa y en los trabajos agrícolas. Aynikuy, es ofrecerse a algo con un fin recíproco, mientras que Mink’akuy, es simplemente invitar sin esperar nada a cambio.

  HURK’AKUQ, HURK’ASQA, Hurk’akuq,es la persona que pide colaboración para una determinada festividad que está a su cargo. Hurk’asqa, es la persona que aceptó colaborar con algo para tal festividad.

  KARGUYOQ, KARGU CHASKIQ, Karguyoq, es el encargado de la festividad de algún Santo. Kargu chaskiq, es quien recibe el cargo para el año siguiente.

  SARA, SARA KALLCHAY, SARA TIPIY, SARA ASTAY, se refiere a todo el proceso de la cosecha del maíz. Sara kallchay, es cortar el tallo donde se ubica el choclo. Sara tipiy, es deshojar el maíz en su estado semiseco. Sara astay, se refiere al traslado del maíz seco de la chacra a la casa.

  SAN ISIDRO, WAKA NOVILLUY. Día de San Isidro, Santo agricultor. Este día debutan los toros jóvenes en su trabajo de arar la tierra, a eso se llama Waka novilluy.

  SAN JUAN, UYWA MARKAY. Día de San Juan, Santo pastor de ovejas. En estos días se aprovecha para festejar a los ganados adornándolos con cintas o hilos de colores dependiendo del tipo. Los adornos pueden tener diversos significados, a esto se llama Uywa markay.

  QARPAY, UNU RAKIQ, UNU RAKICHIKUQ, ÑAK’AQ. Qarpay, es regar la huerta o la chacra de maíz.Unu rakiq, es el repartidor de agua. Unu rakichikuy, consiste en inscribirse o solicitar para recibir el agua. Ñak’aq, es el ser más temido en esta temporada de regadío. Es el llamado pistaco en castellano, ataca a sus víctimas durante la noche para sacar la grasa del cuerpo.

  TARPUY, WANKAY. Tarpuy, es el proceso de la siembra. Wankay, significa cantar en alabanza a la madre tierra.

  • 「クスコにおけるミステリー観光の現在」
  • 岡本年正(東京大学大学院)

 アンデス高地、特にペルー共和国のクスコ都市部においては、アンデスの信仰を基にしたミステリー観光(turismo místico)が産業として成立している。そこには様々なアクター(例えば観光客、観光業者、クランデーロ)が存在しており、それぞれのアクターが民間信仰に対して異なる真正性を想起してこの産業に関わっている。その中で、この真正性の異なり(ズレ)が、アンデスの民間信仰自体に変化しうる余白を生みだしている。ミステリー観光に関わる人々は、それらのズレが共在することを利用もしくは完全に無視をすることで、民間信仰自体に柔軟な変化を創り出していると言える。その結果として、現代のアンデスの民間信仰が広く実践され、活性化している。本発表では、具体的に、2011年11月11日を中心としてクスコとその周辺地域でなされた第三回祖先伝来文化集会とそれに付随したツアーを分析することで、以上のことを論じた。